Aqueduc Saint-Clément(アキュデュック・サン=クレマン水道橋)

(概要)
 アキュデュック・サン=クレマン(Aqueduc Saint-Clément)は、フランス南部オクシタニー地方の都市モンペリエに水を供給するため、18世紀に建設された大規模な導水橋である。ルイ14世の時代に進められた都市整備の一環として、1772年から建設が始まり、技師アンリ・ピトによって設計された。ローマのポン・デュ・ガールを模範とした二層アーチ構造が特徴で、全長約14キロの水路のうち、市街地に近い約900メートルが壮麗な高架橋として残る。
 水源は市北方のサン=クレマン泉で、石造の水路は緩やかな勾配で町へと導かれた。最大高さは20メートルに達し、連続するアーチは優美なリズムを生み出す。終点には巨大な貯水施設「ペルー給水塔(シャトー・ドー)」が設けられ、そこから噴水や公共井戸へ水が分配された。乾燥しやすい地中海性気候のモンペリエにとって、この導水路は衛生と都市発展を支える生命線であった。
 19世紀に近代的な上水道が整うまで現役で使用され、現在は歴史遺産として保存されている。橋の下は遊歩道や公園となり、市民の散策路として親しまれる。夕刻には黄金色の石肌が光を帯び、ペルー広場や凱旋門とともにモンペリエを代表する景観をつくる。
 アキュデュック・サン=クレマンは、古代ローマの技術精神を近世フランスに受け継いだ土木遺産であり、都市と水の関係を物語る象徴的モニュメントである。壮大でありながら人々の暮らしに寄り添うその姿は、今日もモンペリエの歴史的アイデンティティを静かに伝えている。
(アクセス)
 コメディ広場(Place de la Comédie)から凱旋門、 ペルー公園方面へ約1.6kmを15分程歩くと水道橋と貯水塔が見える。Map


凱旋門
水道橋
水道橋

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